和種馬との触れ合い乗馬体験、トレッキング|和種馬ホースランド
トレッキング、流鏑馬... ウマと触れ合いながら絶滅の危機にある日本在来馬を救おう
日本で馬と言えば、真っ先に浮かぶのがサラブレッドのような競走馬でしょう。GIシーズンともなれば、大きな話題となり、日本ダービーや有馬記念といったレースはいまや国民参加型のイベントと言ってもいいでしょう。
その一方で、サラブレッドのその後、つまり光と影の部分も昨今ではしばしば取り上げられています。一部の活躍馬の裏側で処分されていく馬を少しでも救おうとする動きですが、あわせて見逃してはならないのが在来馬の存在です。
種の保存という意味でも喫緊の問題でしょう。
南北に長い日本列島には、気候や風土に対応してきた在来馬がいまも8種類います。その内訳は道産子、木曽馬、野間馬、対馬馬、御崎馬、トカラ馬、宮古馬、与那国馬。もとは本土の山間部や農村部でも飼われ、木材や炭鉱、農耕運搬で活躍し、生活に欠かせない存在として人と馬が共存していました。
しかし、1960年代からモータリゼーションが加速したため、活躍の場を失い、それにつれ、繁殖も減り、日本馬事協会によると現在は全国で1700頭しか残っていません。
在来馬は西洋馬と比べて基本的に大人しく、温厚。小柄で短足、胴回りががっしりしているのが特徴です。粗食に耐え、頑強で働き者という点は古き良き時代の日本人のようでもあります。
例えば木曽馬は体高130センチ。我慢強い。サラブレッドはもちろん、クオーターホース、ペルシュロンなどにも乗馬経験のある人によると「在来馬は頑固な一面があるものの、扱いやすく、脚元が頑丈。体高もサラブレッドのように高くないので、安全性が高いのでは」と話しています。
もちろん、在来馬を保存し、繁栄させていくためには「仕事」をしてもらわなくてはなりません。乗馬をしたいと望んでいる人口は一定数あり、コロナ禍が収束すれば、その動きは活発化することと予想されます。そこでウエスタンでもブリティッシュでもない和の乗馬は在来馬とマッチすることでしょう。
初心者でも乗りやすく、トレッキングや乗馬はもちろんこと、流鏑馬や馬上武芸にも最適です。
心強いのはJRAの在来馬の文化などに関して様々な保護活動をサポートしている点です。以下はJRAホームページの報告の一部です。
「道産子(どさんこ)」という呼び名を聞いたことがある方もいるかもしれません。現在では北海道出身の方をこのように呼ぶこともありますが、元々は北海道和種という馬のことを指します。北海道和種のように日本の地域に根付いた馬のことを在来馬と呼んでおり、現在は8馬種が存在しています。これらの在来馬は農耕用や荷物の運搬用としてそれぞれの地域で活躍してきましたが、現在ではその需要が少なくなり、飼養頭数も減少しているのが実状です。しかしながら、在来馬は、日本において人と馬が共存して生活してきたことの証であり、馬文化を次代に継承していくためにも大切に保存していく必要があると考えており、在来馬の保存事業を行っています。
以上のような観点からも在来馬の保存、繁殖は必要なものと考えます。」
協力:山本 智行
スポーツ紙記者として競馬、プロ野球、ゴルフ、ボクシングなどを担当。 現在はデイリースポーツ、共同通信社、Web媒体などに寄稿。
